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オープンプリントテストにみるお店プリントの傾向と対策

 

今回は、過去のオープンプリントテスト(2010年データ)から、参加を頂いた店舗全体でのプリント傾向はどうであったかについて分析し、その結果を踏まえながらお店プリントの品質を高める方法について考察してみたいと思います。

 

2010オープンプリントテスト結果の傾向

まず、今回のプリントテストに対する補正の仕方は、大まかに以下の4つのグループに分けられました。
円グラフ

 

グループ① ほとんど補正をしない:
全店舗の約8%と少数ですが、ほとんど補正を行っていないお店が見受けられました。
(自動補正のみ、濃度補正のみの店舗も含む)

 

グループ② 色濃度補正のみ:
約34%のお店では、色と濃度の補正のみを行っていました。コントラストや彩度等に対するデジタル的な補正(DSA補正)を行わず、カラーキーと濃度キーを使い基本的な補正を行っています。

 

グループ③ 色濃度+DSA補正(全コマ同じ補正):
グループ①とグループ②を合わせた約42%のお店についてはアナログ機と変わらない補正方法でプリントが行われている事がわかりましたが、残る約58%のお店では色と濃度の補正に加えて、DSA補正が行われていました。また、そのうちの半数弱(全体の26%)のお店については、DSA補正として全てのコマに、ほぼ同じ値を設定していました。

 

グループ④ 色濃度+DSA補正(コマ別に補正):
   DSA補正を行った約58%のお店の内、残りの半数強(全体の32%)の店舗では、色と濃度の補正に加えて、コマ別にDSA補正を行っていました。

注:DSA補正とはDigital Scene Adjustmentの略であり、ノーリツ綱機製のデジタルミニラボで使用されているコントラストや彩度等に対するデジタル的な補正の総称です。

 

  下のグラフは、上記4つのグループがどのような得点だったかを分布のグラフで表したものです。

  
グラフ

 

「ほとんど補正をしない」のグループ①は、得点が5.3~8.0までの範囲で、薄く、広く分布しています。
中心は7.1点付近にあり、残念ながら多くのお店が表彰の圏外となっております。(表彰対象は7.5点以上)

 

「色濃度補正のみ」のグループ②は、得点が6.8~8.6までの大きな山と、5.3~6.8までの小さな山に分かれています。大きな山は、色濃度補正の効果によってできたものと見られます。中心は7.7点付近にあり、「ほとんど補正をしない」グループ①と比べて、はっきりと品質が向上していることがわかりました。山の高得点側の半分は優秀表彰(7.5点以上)に入っている他、最も良好な数店については最優秀表彰(8.5点以上)に入る健闘をみせており、色濃度補正の重要さがわかる結果となっています。小さな山の店舗では、色濃度補正以外の条件が影響して、プリントがうまく仕上がらなかった可能性があります。現像レベル、セットアップ、評価環境も合わせて確認する必要があります。

 

「色濃度+DSA補正(全コマ同じ補正)」のグループ③は、「色濃度補正のみ」のグループ②に似た分布ですが、全体的に高得点側にシフトしており、グループ②よりプリントの品質が優れていることがわかります。また、山の中心は8.3点付近にあり、グループ③の実に75%近くの店舗が優秀店としての表彰(7.5点以上)される、たいへん良好な結果が現れています。

 

「色濃度+DSA補正(コマ別に補正)」のグループ④は、その分布に複数の山があり、一つの傾向にまとめることはできませんでした。但し、いくつかの特徴として以下の点を挙げることができます。


●グループ④には、最高得点の店舗を含む最優秀表彰の店舗が多く見られる。

●一方で、グループ④の多くの店舗はグループ③の店舗と得点が近く、全体として効果の差はあまり見られない。

●全コマ同じDSA補正を行ったグループ③と異なり低得点側にも山が見られるが、現像レベル不良等で発生した他のマイナス要因を補うために個別のDSA補正が加えられたケースもあり、必ずしも補正の技量の差が現れた結果ではない。

 

グループ④には他のグループにはない4つの山がありますが、その内容はどうなっているでしょうか

 

最も得点の低い山(5.9~6.5点)に入っているお店は、「ほとんど補正をしない」グループ①の中心(7.1点)より悪くなっています。 これはコマ毎のDSA補正が不適であったというより、現像レベル等の他の条件に元々点数が低くなる要因があり、それを改善する為に個別のDSA補正が行われた結果とみることができます。劣化した現像液でのプリントは、コントラストや彩度等の補正を行ってもなかなか改善することが難しい事を表した事例と思います。

 

2番目に得点の低い山(6.5~7.7点)に入っているお店は、コントラストと彩度をプラス方向に強く補正する所が多く見られました。 特に色濃度補正が充分でない場合、プリント上に残った色の偏りを彩度補正は悪い方向に強調してしまいます。 コントラストや彩度等のDSA補正は強くかけすぎない様に注意が必要です。

 

3番目に得点の低い山(7.7~8.9点)に入っているお店には、控えめに彩度補正を行う所が多く見られました。彩度補正がプリント上の色の偏りを悪い方向に強調することはなく、「色濃度+DSA補正(全コマ同じ補正)」のグループ③とほぼ同等の仕上がりとなっています。

 

最も得点の高い山(8.9~9.5点)に入っているお店は、コントラストや彩度を含めた全ての補正が適切に調整されています。特に、コントラストや彩度等のDSA補正をマイナス方向にも調整する等、高度に使いこなしている点が見受けられました。

 

対策: お店のプリント品質を高めるには...

上記の結果を見て、すぐに気がつかれたことと思いますが、本テストでは、「色濃度補正+DSA補正(全コマ同じ補正)」のグループ③が安定した良い結果となっています。
慣れないDSA補正は全コマに共通するような設定で揃えておき、手慣れた色補正を重点にコマ別の調整を行うのは、プリント品質に対する効果と、扱い易さの両方の面からバランスの取れた手法であるということを改めて実感致しました。


以下に全コマ共通の設定が可能なDSA補正(参考値)をご紹介します。
まだ設定したことがないお店も、既に設定されているお店もそれぞれ参考に、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

 DSA補正値(参考)

彩度: SA110 (初期設定の100に対し、+10)

オートシャープネス: AS105 (初期設定の100に対し、+5)

 

【ご注意】
・上記のDSA補正はオープンプリントテストで得られた各店の統計情報を元に参考値としてご紹介するものです。全ての店舗に適用できるよう最適化された値ではありませんのでご注意ください。
・QSS37型とMG1000ペーパー(MPC-21処理)の組み合わせにてチェックを行い、設定の前後で極端な変化を伴わないことを確認しています。
但し他社感材等、全ての条件で確認したものではありませんので、もし「補正が強い」と感じるようであれば、補正を少し弱めるか、元に戻すことを行ってください。
・DSA補正は、デジタルミニラボ(QSS)のプリントチャンネル毎にその初期値を設定することができます。設定を変更した際の結果につきましては、お店様の責任にてお願いをいたします。

最後に
良いお店の条件として重要なものの一つに、顧客満足度があります。
写真店において顧客満足度を高めるためには、より安く提供してインパクトをもたせることも一つの方法ですが、普通のスナップ写真をお店の技術で素晴らしい仕上がりに提供することも、受け取ったお客さまには嬉しいサプライズになると思います。
今回のお話がその様なプリントをお客さまに提供するための一助となれば幸いです。

2011年5月12日掲載

2017年3月23日更新